表示回数: 133 投稿日:2009/11/14 00:49
星空の独白 ネウの独白へのアンサー編。
クレスの影絵も描きたかっただけともいう。

多分、アス君の名前が一度も出てこないのは、
クレスが彼のことを「物語」だと思ってない証拠でしょう。

どっちも正解で、どっちも外れ。
答えなんかありゃしない。



ネウ、君は、口癖みたいに「世界は物語に過ぎないんだよ」と口にする。
けれど僕はどうしてもそうは思えないんだよ。
世界はきっともっともっと複雑で、
「物語」なんて一言で片づけられるものじゃない。
ネウがそう言えるのはきっと、君が、この世界の外にいるから。
かつての僕がそうだったように、そう思わないと生きて行けなかったから。
そうじゃないの、ネウ?

君はどんな物語だって歌える。
僕は、聞いていて辛くなるような物語は、どうしてもまだ、歌えない。
そのことを君は物語に失礼だという。
この物語の中に生きる人々の人生への冒涜だという。
でも、ネウ。
君は…君は……君が歌うのは本当に「歌」そのものだけだ。
昔は、僕も、そう思っていたけれど…。それが正しいんだと思っていたけど…。
歌は…歌は、その歌そのものと、僕ら歌い手の心が合わさって、紡がれるものではないの?
歌い手は、歌を歌うだけじゃなくて、
誰かに、自分の心を経て、何かを、伝えなくてはいけないんじゃないの?

だとしたら、僕は、出来るだけ歌の中の登場人物たちの感情に寄り添いたいと思う。
そうするとどうしても、悲しいだけの歌は辛くて歌えなくなってしまうけど、
でも、ネウみたいに、物語から自分を切り離して歌うことは、やっぱり何か違うんじゃないかと思う。
物語に幸せな結末を望むことは、
物語の登場人物たちが少しでも幸せであるように祈ることは、
そんなにもいけないことなの、ネウ?
分からない、
僕にはまだ、分からないよ。
そうしたら悲劇の存在価値がなくなってしまうじゃないかってきっと君は笑うだろう。
違う、そういうことじゃないんだよ、ネウ。
まだ、この思いを…どう言葉にすればいいのか、分からないけれど、でも。
僕は君のように、物語の中の登場人物たちを、人形劇の人形みたいに思う事は、出来ない。
…言いすぎだって言われるかな。
でも僕は、たまに、そう感じるんだよ。
君が、あまりにも物語や言葉を、悲劇や喜劇なんて枠組みを超えて自在に操るものだから。

僕は君と違って、あの頃と違って、世界の中にいる。
色んな人と関わって、その感情に触れて、
だから、こう思うのかもしれないけど。
……世界は物語だけど、物語じゃないよ。
僕にはきっと、決して、僕の仲間や友達のことを、歌うことなんて出来ないだろう。
歌ったとしても、きっと絶対に、間違える。
君はきっと間違えない。
でも僕は君のようになりたいとは思わない。
歌を歌うことは大好きだけど、
君のように、歌を別世界の出来事として冷静に歌えるようになろうとは思わない。
僕はこの世界が好きだよ。僕の周りの人たちが好きだよ。
だから僕は、この世界が好きだってことを、
僕の周りの人たちが少しでも幸せになれるように、何かを歌いたいと思うんだ。

君が笑おうが何だろうが、構うもんか。

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